大阪で活動するコピーライター/プランナー仲山さとこです。
事前にお知らせしておりましたとおり、ドナーとして末梢血幹細胞(まっしょうけつかんさいぼう)を提供するために6日間ほど入院しました。入院といっても病気ではないので、6日間、病院でのんびり過ごしたという感じです。
退院した翌日から通常業務に復帰しております。
このたびはご理解を賜り、誠にありがとうございました。
わたしは、通常は患者さんが使用する個室に入院しました。
ドナーが入院する病室があるフロアごと、コロナ患者さん用に変更されたためです。
ここを訪れる見舞い客は、廊下に置いてある椅子に座って窓越しに対面することになっているようです。患者さんは骨髄などを提供された後も、何度も輸血を受けるなど、大変な治療が続くそうです。見舞客からの感染に気を付けなければならないのでしょう。
わたしはドナーなので、通常でしたら昼間は近所に買い物に行ったり、家族や友達に来てもらうことができたのですが、コロナのため外出も面会も禁止でした。
部屋にはベッド、テレビ、戸棚が完備されていました。
イラスト左の手前は洗面台、カーテンの向こうがトイレです。シャワーはなく、共同のシャワーを予約して使いました。
さて、わたしの備忘録を兼ねて、骨髄バンクの末梢血幹細胞提供について簡単にまとめておこうと思います。
「骨髄バンク」「ドナー登録」「骨髄移植」という言葉は、皆さんもテレビのCMなどで一度は耳にしたことがあるのではないかと思います。
骨髄バンクのHPには次のような紹介文が記されています。
骨髄(こつずい)バンクは、白血病をはじめとする血液疾患のため「骨髄移植」などの造血幹細胞移植が必要な患者さんと、それを提供するドナーをつなぐ公的事業です。
「骨髄移植」〝など〟とある通り、現在は、造血幹細胞(血をつくる細胞)を必要とする患者さんに対して2つの方法があります。
A:骨髄の提供(骨髄移植)
B:末梢血幹細胞の提供
(AとBの説明については、こちらをクリックしてください)。
A:骨髄の提供(骨髄移植)はなんとなく知っているけれど、B:末梢血幹細胞の提供は知らない人が多いようです。わたしもその一人でした。
患者さんとの白血球の型が一致したという連絡を受け、コーディネーターさんの説明を聞いて初めて知りました。
AとBのどちらにするかは、患者さんの主治医が決めます。
わたしは、B:末梢血幹細胞の提供でした。
A:骨髄の提供(骨髄移植)は、ドナーは全身麻酔をします。
腰の骨に針みたいなのを差して骨髄を取り出します。
B:末梢血幹細胞の提供はイメージとしては成分献血に近いです。
片方の腕から血液をとり、造血幹細胞を取り出してもう片方の腕に戻します。両腕に針が刺さった状態で数時間、じっとします。麻酔はしません。長時間、ベッドから動けないけれどDVDを観られると聞きました。そこで、bump of chickenのライブDVDや『ファインディング・ニモ』など、数枚のDVDを持っていきました。
提供した末梢血中の造血幹細胞が規定より少なかった場合、もう1日入院しなければならなかったのですが、十分な量が取れたと聞いてほっとしました。
なお、B:末梢血幹細胞の提供については
通常、骨髄に比べると、末梢血中の造血幹細胞は少なく、末梢血を集めても生着に十分な細胞数は確保できません。 しかし、造血因子である顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を健常人へ注射すると、骨髄より末梢血へ多量の造血幹細胞が循環してきます。
とあります。6日間入院するのはそのためです。
造血幹細胞を増やすために毎日、朝と夕方の2回注射をしました。ちなみにコロナ以前であれば、注射のために通院する手段も選べたみたいですが、通院の行き帰りに事故等に遭ってしまっては大変なので、入院が望ましいのだと思います。
入院日数でいえば、A:骨髄の提供(骨髄移植)のほうが逆にちょっと短めだそうです。
わたしは予定通り、B:末梢血幹細胞の提供を無事に完了して退院しました。
説明は以上です。
骨髄バンクのコーディネーターさん、入院中にお世話になった看護師はじめスタッフの皆さん、医師、同意のサインを書いてくれた姉、たくさんの方々に感謝しております。
特に看護師さんは1日に最低2回は顔を合わせるのですが、その働きぶりに尊敬の念を抱きました。
ある看護師さんは、「1日1回、朝に2本注射を打つ方法も選べますよ」と言ってくださいました。わたしは「それはいいですね」と飛びつきました。痛いとわかっている筋肉注射を、1日1回ですませるほうが楽ではないかと思ったからです。
しかし、実際は2回連続の注射はなぜかとてもしんどくて、次の日から1日2回に戻していただきました。
また、夜に寝られなくて、ゴロゴロしながらYouTubeとかを見ているとき、看護師さんが懐中電灯をもって見回りに来られました。テレビドラマで見る、あのシーンです。寝ていた日は気づいていないだけで、いつも見回りに来てくださっているんだと思いました。頭痛をうったえたときは、よく効く薬をくださいました。
いつも夜勤と日勤をこなし、コロナ禍できっと業務が増えたり、複雑になったり、どんなに重労働でしょう。
でも、いつもハキハキとしていて、わたしにも気持ちよく接してくださいました。外出できず、友達や家族に面会にも来てもらえず孤独だったので、よけいにありがたく感じました。
わたしは幸いにも病気やけがで入院をしたことがなく、入院そのものも初めてでした。
病院内のコンビニやコインランドリーを使ったり、病棟を散歩しながら廊下に貼ってあるポスターを読んだり、いろいろと知ること、考えさせられることも多くありました。
今は、わたしの末梢血幹細胞を移植された患者さんが無事にご回復されることを心から祈っています。
2020年5月14日